遠方の実家の遺品整理は、葬儀などで現地にいる間に貴重品と書類の確保、家の記録、訪問見積もりの予約まで済ませ、作業は立ち会いなしで業者に任せて、写真で仕上がりを確かめてから自宅で支払う進め方です。帰省の回数を先に2〜3回と決めておくと、交通費と休みを抑えられます。
「実家は関東、自分は大阪。お葬式のあと、あの家の片付けを誰がどうするのか」——離れて暮らす親を亡くすと、悲しむ間もなく、遠く離れた家の後始末が残ります。
遠方の実家の片付けは、通える回数が限られるぶん、近くの実家と同じ順番では進みません。現地でしかできないことと、自宅からできることを分けて考える必要があります。
このページでは、関西に住む方が埼玉県所沢市の実家を片付ける例で、葬儀から遺品整理までの順番、期限のある手続き、帰省の回数の決め方、立ち会いなしで頼むときの確認点、実家の地域の業者の調べ方を整理します。手続きは役所などの公的な案内で確かめた内容だけを書き、実家が大阪・兵庫にあって遠方から片付けに来る方向けの節も設けています。
- 進め方帰省の回数を先に2〜3回と決め、現地でしかできない確認と判断を各回に割り振ります。
- 葬儀の帰省で貴重品と書類の確保、家の写真、訪問見積もりの予約まで済ませます。
- 手続き戸籍の広域交付、年金の郵送提出のように自宅からできるものと、実家の市の窓口でしかできないものを分けます。
- 立ち会いなし鍵・残す物・写真報告・貴重品・支払い・キャンセル料の6点を、契約前に書面で決めます。
- 業者選び家庭の廃棄物の回収には実家の市町村の許可か委託が必要です。実家の市の許可業者一覧で確かめます。
※ 手続き・料金は2026年10月時点の各機関の公式情報に基づきます。所沢市の例は自治体によって異なるため、実家の市区町村の案内でご確認ください。
遠方の実家の遺品整理は「帰省の回数」から逆算して進める
遠方の実家の遺品整理の進め方は、現地でしかできない「確認と判断」を帰省の日にまとめ、業者との連絡・契約・支払いや一部の手続きは自宅から進める分け方です。帰省の回数と日程を先に決めてから各回の用事を割り振ると、通う回数を2〜3回に抑えやすくなります。
現地でしかできないこと
- 貴重品と重要書類の確保(通帳・印鑑・権利書・保険証書・年金の書類)
- 家の中と外回りの写真
- 形見の選別
- 訪問見積もりの立ち会い
- 実家の市役所の窓口に出向く手続き(所沢市の場合:世帯主変更は郵送・電話不可で窓口のみ。国民健康保険の葬祭費の申請場所は窓口で、代理人でも申請できる)
関西の自宅からできること
- 業者との連絡・契約・支払い
- 戸籍の広域交付(自宅近くの市区町村の窓口)
- 本籍地への戸籍の郵送請求
- 未支給年金の請求書の郵送・電子申請
- 後期高齢者医療の葬祭費の郵送申請(所沢市の場合)
出典:所沢市「世帯変更」/所沢市「国保加入者がお亡くなりになられたとき(葬祭費の支給)」/法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」/所沢市「郵送による住民票、戸籍証明書等の申請方法」/日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」/所沢市「葬祭費について(後期高齢者医療制度)」
遠方だと遺品整理が長引きやすい理由
- 判断のための帰省が増える:残すか手放すかを決めるたびに、現地へ行く必要が出てくる
- 見積もりを比べる時間がとれない:滞在が短いと、1社の話だけで決めてしまいやすい
- 空き家の期間が延びる:郵便物、庭木、家の傷みなど、片付け以外の気がかりが増えていく
片付けのためだけに新幹線で何度も通ってこられたご家族から、「最初に回数を決めておけばよかった」という言葉を、私は現場で聞いてきました。最初に決めておきたいのは「何回来るか」と「各回で何を決めるか」の2つです。そこが決まると、業者に何をいつ頼むかも自然に決まります。
全体の流れは遺品整理の流れと事前準備で解説しています。このページでは、それを帰省の回数に合わせて並べ直します。
親が亡くなった直後:遠方から葬儀までにすること
遠方の親が亡くなった直後にすることは、安置と葬儀を頼む葬儀社への連絡、葬儀を実家の地域で行うかの決定、斎場の予約と死亡届の段取りです。所沢市斎場のように火葬料が亡くなった人の住民登録地で決まる斎場もあるため、実家の市の斎場の案内を先に確かめます。
葬儀を実家の地域で行うか、関西へ運ぶか
最初に決めるのは、実家の地域で葬儀と火葬を済ませるか、ご遺体を関西へ運んで葬儀をするかです。
決めるときは、参列する方の多くがどこに住んでいるか、菩提寺がどこにあるか、家族の移動の負担、搬送を誰が手配するかを並べて考えます。
葬儀社と斎場は実家の地域で探す
公営の斎場は、市の住民かどうかで料金が変わることがあります。所沢市斎場の場合、火葬料(12歳以上)は市内の人が5,000円、市外の人が60,000円で、市内か市外かは亡くなった人本人の住民登録地で決まります。所沢市に住民登録していた親なら、喪主が関西に住んでいても市内の料金です(2026年10月時点)。
所沢市斎場は予約制で、1月1日〜3日と友引の日は休みです(友引でも通夜はできます)。斎場は民間の葬儀社の紹介をしていないので、葬儀社は家族で探します。
出典:所沢市「所沢市斎場(火葬場)」(2026年9月27日更新)
葬儀で帰省している数日のうちに葬儀社と日程を決めるには、実家の地域で選ばれている葬儀の形式と費用の目安、市の斎場の使い方を先に知っておくと話が早く進みます。実家が所沢市なら、所沢市の葬儀費用の相場と所沢市斎場の使い方に、葬儀の形式ごとの費用の目安と斎場の設備や休みの日がまとめられています。見積もりは2〜3社でとり、追加料金がかかる条件を最初に聞いておきます。
料金の区分や休みの日は斎場ごとに違うので、実家の市の斎場の案内で確かめます。
死亡届は誰がどこに出すか
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に出します。届け出る先は、亡くなった場所、亡くなった人の本籍地、届け出る人の所在地のいずれかの市区町村です。所沢市の案内では、同居していない親族からも届け出られます。
法務省によると、「届け出る人の所在地」は住所の登録地に限らず、一時的にいる場所も含みます。葬儀で実家に来ている子も、その市の窓口に出せます。受理を断られた例があったため、法務省は令和8年6月30日付で、この点を改めて通知しています。
所沢市の場合は、使う斎場の予約をしてから届け出るよう案内しています。夜間や土日祝日は夜間当直窓口で受け付け、埋火葬許可証はその場で発行されます。所沢市以外の市区町村に死亡届を出したときは、所沢市斎場の手続きで改めて埋火葬許可証を添えます。
届出を代行してもらえるかは、葬儀社に最初に確認しておきます。
出典:所沢市「死亡届」(2026年10月1日更新)/法務省「死亡届の届出地について」
葬儀の前後に現地で済ませること
- 通帳・印鑑・権利書・保険証書・年金の書類を持ち帰るか、置き場所を写真で残す
- 鍵の本数を確かめる(スペア、郵便受け、共用部のカードキー)
- 郵便物を誰がどう受け取るかを決める(近くの親族に頼む、賃貸なら管理会社に相談する)
- 冷蔵庫の中身と生ごみを片付け、ブレーカー・水道・ガスの扱いを決める
- 家の中と外回りを写真で残す(家の傷みの見方は実家を片付ける前の家の状態チェック)
- 遺品整理業者の訪問見積もりを予約する(次の帰省の日に2〜3社)
葬儀の間に業者まで決める必要はありません。決めるのは見積もりの予約までで十分です。
お葬式で帰ってこられた数日のうちに業者まで決めようとして、結局1社しか比べられなかったご家族を、私は何度か見ています。葬儀の間は、心にも体にも余裕がありません。この時期は「次の帰省の日に見積もりを入れる」という予約までで十分です。
葬儀のあとに期限がある手続きと、関西の自宅からできるもの
葬儀のあとに期限のある主な手続きは、相続放棄(知ったときから3か月以内)、準確定申告(知った日の翌日から4か月以内)、相続登記(取得を知った日から3年以内)などです。戸籍の広域交付や年金の郵送提出など自宅でできるものと、実家の市役所の窓口でしかできないものを分け、窓口の用事は帰省の日にまとめます。
期限のある主な手続き(2026年10月時点)
| 手続き | 期限 | 窓口 | 遠方からの進め方 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 死亡届 | 死亡の事実を知った日から7日以内 | 死亡地・本籍地・届出人の所在地の市区町村 | 葬儀で実家にいる間に出すのが現実的 | 所沢市「死亡届」、法務省「死亡届の届出地について」 |
| 世帯主変更 (残る世帯員が いる場合) | 所沢市の場合:世帯主が亡くなってから180日以内 | 実家の市役所 | 所沢市は郵送・電話では手続きできず窓口のみ。残った家族が届け出る | 所沢市「世帯変更」(2026年10月1日更新) |
| 年金 (未支給年金・ 受給権者死亡届) | 窓口で確認 | 年金事務所 | 未支給年金を請求するなら「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を年金事務所へ郵送するか、e-Govで電子申請する。未支給年金を受け取れる遺族がいない場合などに出す「年金受給権者死亡届(報告書)」は、日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば原則省略できる | 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」(2026年4月1日更新) |
| 葬祭費 (国民健康保険) | 窓口で確認 | 所沢市の場合:国民健康保険課の窓口 | 代理人が申請するときに委任状は要らない。近くの親族に頼める | 所沢市「葬祭費の支給」(2024年12月2日更新) |
| 葬祭費 (後期高齢者医療) | 所沢市の場合:告別式の翌日から2年以内 | 所沢市役所 | ダウンロードした書類で郵送申請もできる | 所沢市「葬祭費について(後期高齢者医療制度)」(2026年3月2日更新) |
| 相続放棄 | 自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内 | 亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所 | 期間の伸長を申し立てられる | 裁判所「相続の放棄の申述」 |
| 準確定申告 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 | 死亡当時の納税地の税務署 | e-Taxにも対応 | 国税庁 No.2022 |
| 戸籍の取り寄せ | なし | 本籍地以外の市区町村の窓口でも可(広域交付) | 自宅近くの役所でまとめて請求できる。郵送・代理人による請求はできない | 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」 |
| 相続登記 | 不動産の取得を知った日から3年以内 | 法務局 | 帰省の予定と切り離して進められる。遺産分割がまとまらないときは相続人申告登記で義務を果たせる | 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」 |
※ 所沢市の例は所沢市の案内によるもので、期限や窓口は自治体によって異なります。「窓口で確認」とした手続きにも期限が設けられているものがあるため、早めに各窓口で確かめます。
戸籍は関西の自宅近くの役所でまとめて取れる
令和6年3月1日から、本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫の戸籍証明書と除籍証明書は、本籍地が全国に散らばっていても、本籍地以外の市区町村の窓口1か所でまとめて請求できます(広域交付)。窓口へ行く必要があり、郵送や代理人による請求はできず、顔写真付きの身分証明書が要ります。コンピュータ化されていない一部の戸籍と、一部事項証明書・個人事項証明書は対象外です。
兄弟姉妹の戸籍は広域交付の対象に入っていないので、相続人の範囲によっては本籍地への郵送請求を組み合わせます。本籍が所沢市にある戸籍なら、所沢市に郵送で請求でき、投函から届くまで1週間〜10日ほどかかります(広域交付は郵送の対象外)。
出典:法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」/所沢市「郵送による住民票、戸籍証明書等の申請方法」(2026年6月26日更新)
実家の市の「おくやみ」の案内を使う
所沢市には、市役所で必要な手続きをまとめた「おくやみハンドブック」と、質問に答えると窓口に持っていく物がわかる「おくやみナビ」があります。帰省の前に目を通しておけば、市役所の窓口の用事を1日にまとめられます。
実家が所沢市以外なら、実家の市のホームページで、死亡届のあとの手続きをまとめた案内を探します。
出典:所沢市「おくやみ手続き(死亡届後の諸手続き)」(2024年4月1日更新)
相続放棄を考えているなら、遺品に手を付ける前に
相続財産を処分すると、相続を認めた(単純承認)とみなされることがあります(民法第921条)。相続放棄を考えているなら、遺品を処分する前に弁護士か司法書士に相談してください。注意点は遺品整理で知っておきたい法律・許可の基礎知識にまとめています。
帰省ごとのやることと、回数を減らすコツ
遠方の実家の遺品整理を進める順番は、①葬儀の帰省で貴重品の確保と家の記録、②次の帰省で形見の選別と訪問見積もりの立ち会い、③作業は立ち会いなしで任せて写真で確認、④必要なら最後に引き渡しの確認、の4段階です。見積もりを同じ日に2〜3社まとめると、帰省は2〜3回に収まりやすくなります。
| 時期 | 現地でやること | 関西の自宅でやること |
|---|---|---|
| 1回目 (葬儀) | 貴重品と書類の確保、家の記録、訪問見積もりの予約 | 香典返しなど葬儀の後始末、手続きの段取り |
| 2回目 (四十九日の 前後など) | 形見の選別、訪問見積もり2〜3社(同じ日に)、市役所の窓口の用事 | 見積もりの比較、契約 |
| 作業日 (帰省なし) | 業者が作業する | 鍵の受け渡し、写真報告の確認、支払い |
| 3回目 (なくてもよい) | 引き渡しの確認、鍵の受け取り、残った物の確認 | 家の扱い(売る・貸す・管理して残す)の相談 |
※ 賃貸の実家なら、2回目の時期は退去の期限を優先して決めます。
賃貸と持ち家で日程の決め方が変わる
賃貸の実家は、退去の期限がいちばんの区切りです。2回目の帰省と作業日を、退去の期限より前に置きます。持ち家なら、売却や相続登記の予定から逆算して日程を組みます。
始める時期の考え方は、遺品整理はいつ始めればいいかで解説しています。
帰省の回数を減らす4つのコツ
- 残す物の一覧を先に作る:部屋ごとに、置き場所と写真をつけておく。見積もりの日に業者と共有する
- 訪問見積もりは同じ日に2〜3社:時間をずらして入れる。その場で比べられ、帰省も1回で済む
- 形見と見つかった物の送り先を決めておく:関西の自宅へ段ボールで送ってもらうかを決め、梱包と送料を見積書に入れてもらう。関西の自宅にも、届いた物を置く場所を空けておく
- 近くの親族や管理会社に頼めることを洗い出す:鍵の受け渡し、郵便物の受け取り、見積もりの立ち会いの代わりなど。国民生活センターが紹介した事例にも、遠方に住む家族が近くの親族の立ち会いで見積もりをとった例がある
見積もりを同じ日に何社か入れるなら、私は日程を決める電話の時点で一言添えることをおすすめしています。「同じ日にほかの会社にも来てもらいます」と伝えておくと、時間の調整がしやすくなります。
貴金属が見つかったときの扱いは遺品から貴金属が見つかったときの扱い方、実家が一軒家の場合の費用の見方は一軒家の遺品整理の費用と見えないコストで取り上げています。
立ち会いなしで遺品整理を頼むときの確認点
立ち会いなしで遺品整理を頼むときの確認点は、鍵の預け方と返し方、残す物と探してほしい物、写真報告の範囲、見つかった現金や貴重品の扱い、支払いの時期、キャンセル料の6つです。作業日の立ち会いは不要にでき、6点を契約前に書面で決めておくと、遠方からでももめごとを防げます。
ただし、何を残すかの判断は家族にしかできません。訪問見積もりか形見の選別のどちらかは、家族か近くに住む親族が現地で確かめておきます。
訪問見積もりに誰が立ち会うか
オンラインや電話の見積もりは、押し入れや物置の中が見えにくく、物の量を見落としやすくなります。見落としがあると、作業の日になって追加料金の話が出る原因になります。家族が行けない日は近くの親族に立ち会いを頼むか、見積もりの日を帰省に合わせます。
契約前に書面で決めておく6つの確認点
| 確認点 | 決めておくこと | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| ①鍵 | 何本預けるか、郵送か手渡しか、作業後にいつどう返すか、全部戻ったか | 「作業後、鍵は何日以内に、どの方法で返してもらえますか」 |
| ②残す物・ 探してほしい物 | 遺言書・権利書・通帳・写真・指輪など。一覧と写真を前日までに渡す | 「この一覧の物が見つかったら、処分せずに分けてもらえますか」 |
| ③写真報告 | 作業前・途中・後に、部屋ごとに撮ってもらう。全部の部屋の作業後の写真をもらう | 「全部の部屋の作業後の写真を送ってもらえますか」 |
| ④現金・貴重品 | その場で売らずに保管し、目録をつけて送ってもらう | 「見つかった現金や貴重品は、目録をつけて送ってもらえますか」 |
| ⑤支払い | 作業後の写真を確かめてから振り込む。当日の現金払いを求められないか | 「支払いは、写真を確認してから振込でもいいですか」 |
| ⑥キャンセル料 | いつから、いくらかかるか | 「キャンセル料は何日前から、いくらかかりますか」 |
立ち会えないご家族ほど、「写真でどこまで見せてもらうか」を最初に決めていませんでした。作業のあとに「あの部屋はどうなったのか」と不安を口にされる方を、私は何人も見てきました。写真の範囲は、作業の後に頼むより契約の時に決めておくほうが、ずっと話が早いです。
国民生活センターは、料金やキャンセル料、具体的な作業内容を事前に確認することと、残しておく遺品と処分する遺品を明確に分けておくことを呼びかけています。表の6点を見積書か契約書に書いてもらえば、遠方からでも後で照らし合わせられます。
国民生活センターが紹介した相談事例(2018年7月19日公表)
遠方の母の遺品整理で、説明のなかったキャンセル料
遠方で一人暮らしをしていた母が亡くなり、母の住んでいた地域の便利屋に依頼した。近くに住む親族の立ち会いで見積もりをとり、3日間の作業を37万円で契約した。後日20万円で作業してくれる業者を見つけてキャンセルを申し出たところ、説明のなかったキャンセル料17万円を請求された(2017年7月受付)。
関係する確認点:⑥キャンセル料
「鍵をポストに入れておけば始める」と言われたのに、作業が始まらない
見積もりの場で急かされて契約し、「土日のうちにポストに鍵を入れておけば週明けから準備を始める」と言われたが、週が明けても作業が始まらなかった。見積書の「作業日の2日前まで違約金10%」の説明はなかった(2018年4月受付)。
遠方の事例ではありませんが、鍵を預けて任せる形の注意点として挙げます。関係する確認点:①鍵・⑥キャンセル料
帰りの新幹線の時間に追われているときに、契約や支払いを決めないことも大切です。不動産業者の立ち会いの時間に追われて、作業後に言われた高額な料金をその場で払ってしまった不用品回収の相談例もあります(国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」)。
業者の手口やトラブルの例は、遺品整理のぼったくり手口と対策と遺品整理のトラブル事例と安心業者の見分け方にまとめています。
遠方の実家の業者の選び方:実家の地域で許可業者を探す
遠方の実家の遺品整理業者を選ぶ基準は、実家のある市町村の一般廃棄物の許可の体制、内訳のある見積書、立ち会いなしへの対応の3点です。家庭の廃棄物の回収には市区町村の許可か委託が必要なので、実家の市のホームページにある許可業者の一覧で確かめます。
許可は実家の市町村ごと
家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業許可」か、市区町村からの委託が必要です。環境省は、「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では家庭の廃棄物を回収できないと説明しています。
国民生活センターも、広告を大きく出している業者が許可業者とは限らないとして、市区町村のホームページや窓口で許可業者を探すよう呼びかけています。確かめるのは、関西の自宅の市ではなく実家のある市町村の許可や委託です。
出典:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」/国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」
許可の種類の詳しい説明は、遺品整理業者に必要な許可・資格で解説しています。
実家の市の案内を調べる(所沢市の例)
- 多量のごみ:所沢市の場合、引越しなどで一時的に多量に出るごみは市が収集しない。クリーンセンターへ自分で持ち込むか、市の許可を持つ業者に処分を依頼する(有料)
- 許可業者の一覧:所沢市は「一般廃棄物収集運搬業許可業者」の一覧をPDFで公開している
- 粗大ごみ:所沢市の場合、収集日当日の立ち会いは原則不要だが、室内からの運び出しはしないため、指定の場所まで誰かが出しておく必要がある。受付から収集まで2週間程度かかることもある。遠方の家族が出すのは難しいので、近くの親族に頼むか、業者の作業に含めるかを先に決める
- ほかの市の調べ方:「(実家の市名) 一般廃棄物 許可業者」「(市名) 引越し 多量ごみ」と検索して、市の案内を探す
出典:所沢市「引越しなどで多量のごみが出るときには」(2023年1月23日更新)/所沢市「廃棄物処理業者のご案内(一般廃棄物)」(2026年7月28日更新)/所沢市「『粗大ごみ』の出し方」(2026年9月30日更新)
出し方のルールは市ごとに違うため、実家の市の案内で確かめてください。
買取があるなら古物商の許可
遺品を買い取ってもらうなら、業者に古物商の許可が必要です。古物営業を営むには、都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません(古物営業法第3条)。
古物商は原則として、ホームページに許可をした公安委員会の名称・許可証の番号・氏名などを表示しなければなりません(同法第12条)。ただし、常時使用する従業者が5人以下の場合や、自社のホームページを持たない場合などは表示しなくてよいとされています(古物営業法施行規則第13条の2)。
遠方からでも、業者のホームページでこの表示を確かめられます。表示がないときは、許可をした公安委員会と許可証の番号を電話で聞きます。
出典:e-Gov法令検索「古物営業法」/e-Gov法令検索「古物営業法施行規則」/警視庁「古物商許可申請をされる方へ」
「全国対応」の窓口に頼むとき
「全国対応」をうたう窓口に頼むときは、実際に作業する会社はどこか、その会社が実家の市の許可業者か、許可業者や委託先と組んでいるかを聞きます。
遠方の業者に電話で聞くこと
| 聞くこと | 確かめ方 |
|---|---|
| ①作業する会社 | 実際に作業する会社の名前と所在地を聞き、見積書にも書いてもらう |
| ②廃棄物の運び方 | 家庭の廃棄物をどの許可・委託の体制で運ぶかを聞き、実家の市の許可業者一覧と照らし合わせる |
| ③日程 | 訪問見積もりの日程と、立ち会わない作業ができるかを聞く |
| ④見積書の内訳 | 内訳と、追加料金がかかる条件を書面でもらう |
| ⑤キャンセル料 | 何日前から、いくらかかるかを聞く |
| ⑥遠方への対応 | 写真報告・鍵の返却・貴重品の送付にどう対応するかを聞く |
一般的な業者の選び方は遺品整理業者の選び方、業者の種類による違いは遺品整理と不用品回収の違いで整理しています。
片付けたあとの実家:空き家の管理と相続登記
片付けたあとの実家の扱いは、売る・貸す・管理して残すのどれにするかを決め、不動産を相続したら3年以内に相続登記をするのが基本です。管理されないまま市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が外れることがあります。
相続登記の義務化
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが義務になりました。正当な理由がないのに登記をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
義務化は令和6年4月1日に始まり、それより前に相続した不動産でも、登記されていないものは令和9年3月31日までに登記が必要です。遺産分割の話し合いがまとまらないときは、「相続人申告登記」をすれば義務を果たせます。
法務省の「不動産を相続した方へ」のページに、申請手続きの手引きと申請書の様式の案内があり、関西の自宅から準備を進められます。
出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日現在)/法務省「不動産を相続した方へ」
空き家のまま置くときの注意
令和5年12月13日に施行された改正空家法で、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」に、市区町村長が指導や勧告をできるようになりました。勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例(1/6などに減額)が外れます。
遠方の実家を空き家のまま残すなら、風通しや郵便物の確認を誰に頼むか(親族か、管理会社などか)を決めておきます。
出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律について」/同 概要(PDF)
売るなら相続した空き家の特例
相続した実家を売る場合、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの売却で、一定の要件に当てはまれば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。令和6年1月1日以後の売却で、家屋と敷地を相続した相続人が3人以上なら、上限は2,000万円です。
主な要件は、昭和56年5月31日以前に建てられた家であること、区分所有の登記がされていないこと、相続の直前に亡くなった親のほかに住んでいた人がいなかったこと、売る時までに耐震基準を満たすか取り壊すこと、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であることなどです。要件が細かいので、売る前に税理士か税務署に相談してください。
出典:国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
実家が大阪・兵庫にあり、遠方から片付けに来る場合
実家が大阪・兵庫にあり、子が首都圏など遠方に住んでいる場合の進め方も、帰省の回数を決め、実家の市のごみの案内と業者の許可の体制を確かめ、立ち会いなしの確認点を書面にする点で同じです。北摂の市は粗大ごみや臨時ごみの申込み方が市ごとに違うため、実家の市の案内を先に見ます。
北摂の市の案内を使う
豊中市の粗大ごみ・臨時ごみ・持ち込みの申込み方は、豊中市で片付けのごみを出す方法で整理しています。北摂のほかの市は、北摂の不用品回収業者の比較と北摂のゴミ屋敷清掃業者の比較で、市ごとのごみの出し方とあわせてまとめています。
豊中・吹田・枚方の現場で見た、遠方のご家族がつまずくところ
首都圏などから通ってこられるご家族を、私は担当の現場で見てきました。つまずくところは、おおむね次の4つに集まります。
- 見積もりが1社だけになる:比べるために、もう一度来ることになる
- 写真報告の範囲を決めていない:鍵を預けたあと、作業の様子がわからない
- 形見の送り方を後から足す:作業の途中で頼み、日数が延びる
- 集合住宅の決まりを誰も確かめていない:エレベーターの使用時間や管理組合への届出の確認役が決まっていない
千里ニュータウンの団地や集合住宅の注意点は、千里ニュータウンの遺品整理で知っておくべきことにまとめています。
団地やマンションの実家では、エレベーターを使える時間や管理組合への届出を、ご家族も業者も「相手が確かめると思っていた」ことがありました。見積もりの日に、管理規約の確認をどちらがするかを決めておくと、作業の日に慌てずに済みます。
豊中市で依頼先を比べるときは、次のページも役立ちます。
比較ページ豊中市の遺品整理業者おすすめ5社の比較 料金ページ豊中市の遺品整理 料金相場実家が大阪府・兵庫県の対応エリア内にあり、遺品整理から引越し・買取までまとめて相談したい場合の参考として、当サイトの取材協力企業の情報を載せます。
大阪 かたづけ招き猫 / 大阪市平野区(大阪府・兵庫県の一部に対応)
本記事で参照したデータ・実績(2026年10月時点)
- 豊中市の遺品整理業者の比較で当サイト1位(評価の基準は豊中市の遺品整理業者おすすめ5社の比較で公開)
- 遺品の一時預かりと、遠方に住む親族への形見分け品の配送に対応と公式サイトに記載
- 対応エリアは大阪市内全域と大阪府内の17市、兵庫県の尼崎市・西宮市・伊丹市・芦屋市・宝塚市・川西市と公式サイトに記載
- 月間対応件数 1,000件以上(全サービスの合計・大阪・兵庫エリア、取材協力により確認)
↗ 外部サイト(大阪 かたづけ招き猫 公式)に移動します
※かたづけ招き猫は当サイトの取材協力企業(スポンサード掲載を含む)です。比較・評価の基準は比較ページ内で公開しています。
遠方の実家の遺品整理についてよくある質問
遠方の実家の遺品整理について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
頼めます。葬儀などで現地にいる間に貴重品と書類を確保し、訪問見積もりに立ち会っておけば、作業は鍵を預けて立ち会いなしで任せ、作業後の写真を確かめてから支払う形にできます。鍵の受け渡しと返却、写真報告の範囲、キャンセル料は契約前に書面で決めておきます。
業者によってはできます。見積もりから鍵を預かって対応する業者もありますが、残す物の判断は家族にしかできないため、少なくとも訪問見積もりか形見の選別のどちらかは家族が現地で確かめることをすすめます。行けない場合は、近くに住む親族に立ち会いを頼み、残す物の一覧と写真を業者と共有します。
所沢市斎場の場合、市内と市外の料金区分は亡くなった人本人の住民登録地で決まるため、親が所沢市に住民登録していれば、喪主が関西に住んでいても市内料金(火葬料は12歳以上5,000円)です。区分の決め方は斎場ごとに違うので、実家の市の斎場の案内で確かめてください(2026年10月時点)。
取れます。令和6年3月1日から、本人・配偶者・父母・子などの戸籍証明書と除籍証明書は、本籍地以外の市区町村の窓口でも請求できます(広域交付)。窓口へ行く必要があり、郵送や代理人による請求はできません。顔写真付きの身分証明書が要り、コンピュータ化されていない一部の戸籍は対象外です。
遺品整理そのものに法律の期限はありません。目安になるのは、賃貸なら退去の期限、相続放棄を考えているなら知ったときから3か月以内の申述(それまで遺品を処分しない)、持ち家なら空き家の管理と、取得を知った日から3年以内の相続登記です。
実家の市のホームページで一般廃棄物収集運搬業の許可業者の一覧を確かめ、買取があるなら、業者のホームページに公安委員会名と許可証番号が出ているかを見て、出ていなければ電話で聞きます。見積書の内訳と、追加料金・キャンセル料の条件も書面でもらってください。
まとめ:遠方の実家の遺品整理
遠方の実家の遺品整理は、帰省の回数を先に決め、現地でしかできない確認と判断を各回に割り振る進め方です。作業は立ち会いなしで任せ、鍵・残す物・写真報告・貴重品・支払い・キャンセル料の6点を書面で決めておけば、関西の自宅から仕上がりを確かめられます。
葬儀の帰省では、貴重品と書類の確保、家の写真、訪問見積もりの予約までを済ませます。期限のある手続きは、戸籍の広域交付や年金の郵送提出など自宅でできるものと、実家の市の窓口でしかできないものに分けます。
業者は、実家の市町村の許可業者一覧で確かめます。片付けたあとは、空き家の管理と3年以内の相続登記を忘れないようにします。実家が大阪・兵庫なら、北摂の市の案内と比較ページを使います。



私は豊中や吹田の現場で、首都圏や九州から通ってこられるご家族にたくさんお会いしてきました。片付けがうまく進むご家族は、最初に「次に来られるのはいつか」を決め、その日までに業者に何を頼むかを逆算していました。関西から首都圏の実家へ通う場合も、立場が逆なだけで同じです。